うなぎを調理できる一人前の料理人になるまでには、
かなりの年数修行しなければなりません。
『串打ち三年裂き八年焼き一生』
という言葉がありますが、これは『桃栗3年柿8年』をもじったもので、
それだけ大変だという意味があります。
これは、実際にそれだけかかるという意味ではなく語呂でできているようで、
料理人の腕によってかかる年数はかわってくるでしょう。
腕の良い人だともっと早い段階で習得できます。
そもそも串打ちってなに?
うなぎを捌いた後に身と皮の間に串を数本通します。これは、白焼きを焼くときに
反り返らないようにするためのもので、職人がまず最初に覚える作業です。
身と皮を縫うように串を通していくのですが、これがうまく行えないと
『蒸し』の段階で串がすっぽ抜けたりし、キレイに焼くことができません。
お店では、この作業を何本も行わないといけないため、繊細な手つきで
かつ、スピーディーに行わないといけません。
習得するまでに通常数年かかるようです。
大型店舗になると、これを自動で行う機械が置いてあり
人間のおよそ5倍の速度で打っていくそうです。
裂きとは
うなぎを捌くことですが、うなぎはぬるぬると滑るため、
最初はどうしても時間がかかってしまいます。
数をこなしていくと、上達はしますがやはり何年も修練が必要になります。
職人の間では、『手を切った数が多ければ多いほど上達する』なんて言われており、
つらい経験を重ねて、一人前になっていくようです。
この裂きの工程がうまくいかないと、見た目が悪いどころか
蒲焼きにする際に、照りまででなくなるそうです。
これを失敗なくスピーディーに行うには技術はもちろん体力に
そして精神力を付けなければ難しいため、裂きを始めて数か月で
できるというようなものではありません。
焼きとは
白焼きにする際の炭火の火加減やうなぎを置く位置、焼く時間など
うなぎの個体によっても変わってくるため、目と感覚を鍛えないといけません。
焼き加減や焦がし加減は地域によって違いますが、難しさはどの地方も
同じだと思います。
焼き一生と言われているのは、常に良い焼き加減、焦がし加減で
お客様に提供できるように、毎回細心の注意を払いながら焼いていくという
常に向上していくという意味で、一生と言われているのではないかと思います。
焼きは、それだけ大切な作業ということですね。
ちなみに、関東と関西ではこの言葉の言い方が違い、
関東では、『串打ち三年、割き(裂き)五年、焼き一生』
関西では、『割き(裂き)三年、串打ち八年、焼き一生』
と言われているようです。
途中機械の紹介もしましたが、どんなに速くても
機械にはできない部分というものが、どうしても出てきます。
なので、一番良い状態のうなぎを食べる際には、目の前で調理を行う
うなぎ屋さんに行きたいですね。